子どもの虫歯予防。親がすぐにできることを歯科医師が解説

虫歯を予防するために親がすぐにできることを歯科医師が解説

「毎日、がんばって子どもの歯磨きをしていたのに、検診で虫歯が見つかりました。
ショックです。どうしたら、虫歯を防ぐことができるのでしょう?
歯科医院に連れて行くのも不安です。」

こんな質問をよく受けます。

子どもに虫歯がある!となると、親はショックですよね。

しかも、大人でも嫌な歯科治療を特性のある子どもに受けさせるのは、非常にハードルが高いです。
だからと言って

「虫歯になってしまうのは仕方ない事…。」

とあきらめないでください。
虫歯はがんばらなくても、予防できるのです。

「虫歯になる条件」を知り、その条件を満たさないようにすればいいだけです。

ママさんエスコーター

歯科医師でもある私と、一緒にその条件について学んでいきましょう!

歯医者に通うのが大変

虫歯ができたからと、子どもを歯科医院に連れて行くことは大変ですよね。

  • 痛み
  • 振動
  • におい
  • 何をされるかわからない不安etc

こうしたことから大の大人でも、苦手な人が多いです。
というか、好きな人はあまりいません…。

子どもなら、イヤだ!イヤだ!
と拒否をして当然の場所です。

発達障害や特性のある子なら、なおさら。

診察台や、器具になれ、先生との関係を築いて…。

治療を始められる状態になるまでにも、何度も通うことになります。

それでも無理な場合は、障がい児歯科などを探して、遠方であっても、そこに連れて行くしかなくなります。

しかも、何回も通うことになりますので、親は、ヘトヘトになってしまいます。

子どもの虫歯を予防するには、親の知識が必要

歯科医院を探したり、嫌がる子どもを連れて、何度も通うことになるよりも、

「虫歯にならない」

のが一番!

当たり前のことかもしれませんが、虫歯になって通院をがんばるより予防に力を入れていきましょう。

ママさんエスコーター

「子どもは小学校でも自分で歯磨きをしているから」
と子ども任せにしていませんか?

幼稚園・保育園、小学校で歯磨きをするのは、習慣づけのためです。
「子どもが自分で自分の歯を守れるようになった」ということではありません。

子どもの歯を守るためには、親の力が必要です!

とはいえ、

  • 歯磨きをすればいいとはわかっているけれど、毎食後になんてできない
  • 子どもにお菓子を与えないなんて、無理…
  • 自分も虫歯が多いので、遺伝だから仕方ない

そんな思いありませんか?
でも大丈夫ですよ。虫歯を予防するのは、それほど難しいことではありません。

虫歯のことを知って、あなたのできることで、効果的に予防していって下さい。

虫歯になる条件


実は、虫歯になるためには、「条件」が必要です。
甘いものを食べた。だけでは、虫歯にはなれないのです。

以下の4つの条件の「全て」ががそろったとき、はじめて虫歯になります。

  1. 虫歯菌
  2. 糖質
  3. 時間

虫歯菌が口の中に存在

虫歯菌は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはいません。
育っていく中で、親や周りが持つ虫歯菌が感染して、虫歯菌を持つようになります。

なので、食器の共有やキスなどを徹底的に避ければ虫歯菌は存在しません。

虫歯菌が存在しなければ、どれだけ甘いものをたくさん食べようとも、虫歯になることはありません。

糖質を含む食べ物をとる

虫歯菌は糖質を食べて、酸を出します。
その酸が、歯を溶かします。

これが虫歯です。

なので、甘い物、お菓子であっても、「糖質」でなければ、虫歯にはなりません。

虫歯になるには時間が必要

虫歯菌や、歯を溶かす酸があっても、
ある一定時間内に、歯磨きやうがいで、
口の中からなくなれば、虫歯にはなりません。

虫歯になるためには、時間が必要です。

歯の性質が関係する

もともと歯がもろい、歯並びが悪い、という状態なら虫歯になりやすいです。

また、唾液の量が少ない、酸を中和する力が弱いと虫歯になりやすいです。

親がすぐにできる虫歯予防

1~4のうち、どれか一つの条件を外せば虫歯になりません。

今まで、あなたは自分が思いつく虫歯予防を全部がんばってきたかもしれません。
(素晴らしいことです!)

でも、歯だけに多くの時間・労力を費やせませんよね。

だから、あなたは、「ひとつだけ」がんばればいいのです。

すでに、虫歯菌がいる。歯の性質は変えられない。

ということが、多くの人にあてはまるでしょう。

なので、私たち親がすぐにできることは、「時間」と「食べ物」に関するアプローチです。

1日に1回仕上げ磨き・食べる時間にメリハリを

食べた後、ずっと口の中に糖がある状態が虫歯を作ります。
12時間程度では虫歯にはなりません。

毎食後、歯磨きをしなくても、1日に1回、仕上げ磨きをしてあげれば十分です。

仕上げ磨きのコツは、こちら参考にしてくださいね!
歯医者が教える!発達障害児の仕上げ磨き。いつまで?歯磨き粉は?

また、ダラダラ食べると口の中が酸性になる(虫歯になりやすい環境)ので、おやつの時間、食事の時間にだけ
口の中に食べ物を入れる!というように、食べる時間にメリハリをつけましょう。

子どもが食べるお菓子を選ぶ

甘いものでも「糖」を含んでいない物があります。

代替甘味料というのを知っていますか?

エリスリトールやマルチトールなど、ダイエット甘味料としても知られています。

子どものお菓子を選ぶときや、作る時は、ぜひ、裏の成分表示を見てみて下さい。

また、粘着性のある食べ物、例えば、ハイチュウやキャラメル、クッキー、チョコな度は、長時間歯にくっついてしまいます。
ゼリーやプリン果物などなら、歯にくっつく可能性が低いのでおすすめですよ

最低限の努力で虫歯を予防を

こんな風に、
「何が虫歯の原因になるのか」
ということを考えれば、虫歯を避けるために、あなたのできることが見えてきます。

甘いものが好きな子どもで、
「今日はおやつはお休み」
なんてことができない子には、糖質ではない代替甘味料を使っておやつを作ってあげる。

誕生日やクリスマスでたくさんお菓子を食べた日は、いつもより、時間をかけて仕上げ磨きをする。

ママさんエスコーター

あなたのがんばる「ポイント」を考えて、最低限の努力で、虫歯を予防していきましょう。
歯医者が教える!発達障害児の仕上げ磨き。いつまで?歯磨き粉は?

まとめ

子どもが虫歯になってから、歯科医院通いをするのは本当に大変です。
(治療する側も大変です…)
また、治療できる歯科医院を見つけることにも苦労します。

虫歯の予防が大切、ということは知っていても何をしていいのかわからない。
という親御さんは多いです。
また、毎食後に仕上げ磨きをしないと!と必死になって、疲弊するお母さんもいます。

虫歯を防ぐためには、まずは「虫歯になる条件」を知ってください。
虫歯菌、糖質、時間、歯。この4つが全てそろわないと、虫歯にはなれません。
なので、この4つのうち、ひとつだけを外すことを心掛けて下さい。

つまり、思いつくこと全てをがんばるのではなく、ピンポイントでがんばればいいのです。

子どもの身の回りの世話をするだけでも、毎日大変です。
その上、嫌がる子どもを何度も歯科医院に連れて行かなければいけない!
なんてことにならないように、効果的に虫歯を予防していきましょう。

ママさんエスコーター

虫歯でなくても、チェックや歯科医院に慣れるためにも、
定期的に検診には行ってくださいね。

音声で解説


ママさんエスコーター

家事をしながら、聞き流してみて下さい!