発達障害や特性のある子は、書くのが苦手な場合が多いです。
- ちゃんと書きなさい
- 覚えるまで、何回も書きなさい
- きれいに書かないと、将来困るよ
こんな言葉がけ、したことありませんか?
これで、子どもは上手に書くようになるでしょうか?
書くのが苦手な場合、どんな支援をするべきか。
そして、どんなことはしてはいけないのか。
しっかり覚えて、お子さんの「書く」をサポートしてあげて下さい。
発達障害の学習障害に「書きの困難」がある
学習障害(LD)とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはありませんが、
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものです。
学習障害には3つの種類があります。
- 読字障害(ディスレクシア)/読みの困難
- 書字表出障害(ディスグラフィア)/書きの困難
- 算数障害(ディスカリキュリア)/算数、推論の困難
この「書字表出障害」に分類されるものが、「書くことが苦手」です。
書字表出障害の特徴
- 書いた字が読みにくい
- 書くのに時間がかかる
- 鏡文字になる
- 「てにをは」を間違える
- 漢字を覚えられない
- 黒板の文字をノートに書き写せない
- 作文や日記などの長い文章を書くのが苦手
- 文字がマス目からはみ出す
など
学習障害を早くに診断するのは難しい
学習障害は、発達障害の中でも診断が難しいとされています。
理由は、苦手なこと以外の知的能力に問題が見られないことが多いためです。
また、小学校に入ってから「読む」「書く」「計算」にふれるため、
未就学の子どもの学習障害であることに気づくのは困難です。
中にはその人の学習困難が発達障害によるものではなく
単なる苦手分野だと判断され、
大人になるまで気づかれないことも多くあります。
診断が診断がおりているから、配慮する。
診断がおりていないから、何度も書かせて訓練する。
ということでは、困り感を抱えている子どもは救われません。
うまく書けなくてイライラする
どんな理由であれ、うまく書けないことはストレスになります。
気持ちが不安定だったり、イライラしやすい子は、より毎日の授業が苦痛になります。
学習障害であってもなくても、目の前の子どもが過ごしやすくなれば
子どもは楽しく勉強を進めていくことができます。
診断よりも、「書きに対する困り感」を減らしてあげることを優先しましょう。
書くために必要な事
ここで「書く」ために必要なことは何なのか、
考えてみましょう。
親(他人)が見てわかる能力
- 鉛筆やペン、クレヨンを持つ力があること
- 鉛筆などを持って、筆圧を加えること
- 作文、色塗りなど、ある一定量の文字を書く、塗ることを続けること
少しずつではありますが、親がサポートできる部分です。
本人にしかわからない能力
- 見本の文字や形が、その通りに見えていること
- 見本の文字や形、右左が認識できていること
- 自分の書いた文字や形が、見本と合っているのか間違っているのかがわかること
この能力をトレーニングするというより、この能力を補うための工夫を考えていく必要があります。
上手く書けない理由を考える
では、あなたのお子さんがうまく書けない理由は何でしょう?
- 力の問題
- 不器用さ
- 見え方の違い
- 認識の仕方
- きれいに書く必要性を感じていない
子どもの様子を観察してみて下さい。
「書く」のが苦手な子へのサポート
力が弱い、不器用さがある、見え方・認識に問題がある場合は、何度も何度も書かせる、といったことよりも、周りができる配慮をできるだけしていきましょう。
学校・先生へ相談
学校での困りごとを減らすためには先生に相談し、配慮してもらうことが必要です。
・書く量を減らしてもらう
プリントを用意してもらい、○をつけるなどで済むようにしてもらう。
・書き取りや漢字、作文の宿題を減らしてもらう
書くのが苦痛な場合は、宿題の量を減らしてもらったり別の宿題に変えてもらうように依頼する。
・パソコンやパッド、「書く」を助けてくれるグッズの使用について相談する
書くよりも、入力の方が得意な場合は、学校で使ってもよいかを確認する。
また、「書く」をサポートしてくれるモノの使用許可を取る。
「書く」をサポートしてくれる物
書くをサポートしてくれるモノはたくさんあります。
子どもに合ったものを上手く使ってみて下さい。
鉛筆などを持つのをサポート
クリップ1つで、とても持ちやすくなります!
手指の機能が未発達である場合に有効
手が震えて、上手く書けないのをサポートしてくれます
図をなぞってきれいな文字、記号、図形を描くことができる
抵抗感を高めて、「書いてる感」をUPさせる
※紙やすりも有効です!
紙がズレないので書きやすい
|
|
文字を書きやすくしてくれる
カラーマスノート
ますが、カラーになっているので、部首(へん・つくり・かんむり)などを書く場所がわかりやすい。
ICT教材
「書く」ことが苦手でも、勉強を進める事は可能です。
たくさんの企業が、ICT教材を出しています。
子どもに合うものを見つけて、楽しく勉強を進めて下さい。
(例)
・スマイルゼミ
・【こどもちゃれんじ】
・【天神】幼児版
・【天神】小学生版
・スタサプ
・発達障害のお子様の自宅学習をサポート【すらら】
・どんどん算数が好きになるタブレット教材【RISU算数】
・まなびwith
・Z会 幼児コース
・Z会小学生向けコース。学年別「おためし教材」さしあげます!
上手く書く必要性を感じていない
書くことに困難さを感じていなくても、
「そもそも、上手く書きたいと思っていない」
という場合があります。
親は
- きれいに字を書けた方が将来困らない
- 履歴書をきれいに書ければ、就職に有利だから
- 字が汚いと、性格が悪いと思われる
など、将来を心配して助言していても子どもには伝わっていないことが多いです。
子どもが感じられるメリットがないと、子どもは上手く字を書こうとは思いません。
- 字がきれいに書けたら○○がもらえる
- 上手く書けたら、先生に褒めてもらえる
- みんなが読めたら、遊びで使える
ママさんエスコーター
きっと、きれいな字を書こう!とがんばるはずです。
書けないは、学べないとは違う
書くことは重要ですが、配慮を受けたり工夫をすれば、書かずに学ぶことはできます。
書くのが苦手、上手く書けない、といった場合に
「○年生なのに、書けないの?」
「ちゃんと書きなさい。」
「練習しないから、書けないのよ。」
などといった声掛けはNGです。
子ども本人に
・自分はできない
・書けない自分はダメ
という思いを持たせないようにしてください。
こうした思いをさせること(自己肯定感を下げること)は、学力を下げるだけでなく、学校がイヤになったり、生きていく上でのエネルギーを奪ってしまいますので、十分に注意して下さい。
便利な物を用いながら楽しく学べる環境作り
学習障害の中には、書くことに困難さがある、書字表出障害があります。
これは、文字が上手く書けなかったり、書くのに時間がかかるなどの特徴があります。
学習障害の診断は、就学後など、ある程度年齢があがってから下りることが多いです。
なぜなら、未就学では、書く機会がほとんどないからです。
また、知的な遅れがないため、周りに「怠けている」「努力が足りない」と考えられ、中には大人になってから診断される方もいます。
子どもが「書く」ことに困り感を持っている場合、診断が下りているかどうかに関係なく、その困り感を減らしてあげることが第一です。
学校の先生と相談しながら、配慮してもらうことが必要です。
書くのが苦手であっても、学習は進められます。
子どもに何度も繰り返し書かせたりしないでください。
そして、自尊心を低くするような言動に気を付けて、「書く」をサポートしてくれるものを用いながら、楽しく学べるようにしてあげましょう。