発達障害の二次障害って何?その原因と子どものために知っておきたい対応

発達障害の二次障害って何?その原因と子どものために知っておきたい対応

  • 発達障害という言葉を知っている人が、次に知るのは「二次障害」という言葉。
  • 二次障害なんて聞いたことがない
  • 「二次障害」という言葉より、目の前の困りごとを何とかしたい
  • 自分の子どもは発達障害や特性はないから、関係ない

こんな風に思っていませんか?
子どもが発達障害であっても、なくても二次障害は起こりえます。

そして、発達障害や特性そのものよりもずっとやっかいなものなのです。
二次障害を考えることで、今、親として子どもにどんな対応をしたらいいかが見えてきます。

ママさんエスコーター

幼少期の子どもを持つあなたが、知っていて損はないことです。

発達障害の二次障害は、二次災害に似ている?

二次障害って言う文字が、もう難しそうで…

そんなあなたは、「地震の二次災害」を考えてみると分かりやすいでしょう。

地震の一次災害

一次災害とは、地震が直接的な原因となる被害です。

  • 家やビルの倒壊
  • 道路が割れる
  • 山の地滑り

など、地震の後にすぐ起きる災害としてあなたも想像しやすいでしょう。

けれど、被害はそれだけではありませんよね。
時間が経過すると、地震そのものの被害以外の困りごとが起きます。

地震の二次災害

たとえ、地震直後の被害を免れることができたとしても、巻き込まれる可能性がある被害

  • 火災
  • エコノミークラス症候群
  • ライフライン寸断など

こうした被害が、地震の二次災害です。

一次災害と二次災害の関係

火災がどうして起きるか。それは、地震の揺れでストーブなどの暖房機器が倒れて延焼が起きるからです。または、灯油やガソリンを使用する工場では、引火した場合は火災や爆発につながるからです。

火災やエコノミー症候群で命を落とす方は、決して少なくないです。
また、ライフライン寸断で、長期間に渡り、毎日の生活に支障をきたします。

二次災害も大きな災害といえますし、一次災害よりも長期間の対応が必要になってきます。

この地震における災害と同じように、発達障害も少し時間が経過したときに、別の困りごとを生じさせてしまうことがあるのです。

発達障害の二次障害とは

発達障害の一次障害、つまり直接的な困りごとは、

  • 落ち着きがない
  • こだわりが強い
  • 不注意
  • 人の気持が想像できない
  • 文字が書けない、覚えられない

などがあげられます。

発達障害の二次障害とは

  • 自己肯定感が低くなる
  • 不登校
  • 引きこもり
  • 暴力
  • 犯罪、非行

といったものです。

地震の二次災害は、あなたも想像できることだと思いますが、二次障害は発達障害とのつながり関係性がわかりにくいかもしれません。

ママさんエスコーター

二次障害が起こる「例」を挙げて説明していきますね。

発達障害の二次障害の原因

例えば、落ち着きがないA君。
親は、つい

「静かにしなさい!」
「じっとしていなさい!」
「なんであなたはそうなの?」

と言いたくなります。

親だけではありません。
学校の先生からも、

「ちゃんと座っていなさい!」

などと叱られることが多くあるでしょう。
そうすると、A君はクラスの友だちからバカにされたり、仲間外れにされる可能性が高くなります。

そういった環境・状況が長く続くと、A君は

『先生は、いつも僕を怒る
『学校に行くと、バカにされる

そんな思いが大きくなり、学校に行きたくなくなってしまいます。そうして、不登校に…。

不登校になると、より一層、周囲からのストレスを受けて、精神疾患(不安やうつ)が出ることもあります。

発達障害と不登校、精神疾患。一見関係がないようにみえますが、このような関係性があります。

絵本から見る小学生の事例

いつも怒られたり、注意される子ども本人(小学生)の気持ちを、上手く表現した絵本を紹介します。

~おこだでませんように くすのき しげのり・作(小学館)~

『ぼく』は、家でも学校でもいつも怒られています。

きのうも おこられたし…、
きょうも おこられてる…
きっと あしたも おこられるやろ…

『ぼく』がどんどん落ち込んで、自信をなくていってしまう様子がわかります。
そして、「いつも怒っていた」と気づいたお母さん、先生は…。

ママさんエスコーター

一度、お子さんと読んでみて下さい。あなたにも何か気づきをくれる一冊です。

二次障害は誰にでも起こりうる

例えば、「落ち着きのなさ」という症状は、年齢を重ねるとともに、緩和されていくと言われていますが「落ち着きのなさ」から生じた不登校や精神疾患を改善するのは、容易ではありません。
発達障害そのものの困りごとよりも、二次障害の方が、この先の人生において生きづらさを感じさせるものであることが多いです。
また、二次障害は発達障害の子ども(人)特有のものではありません。誰にでも起こりうることです。
発達障害の診断を受けていなくても、グレーゾーンでも、定型発達だとしても…。子どもへの対応次第では、自己肯定感が低くなったり、不登校や引きこもり、家庭内暴力などが起きやすくなってしまうのです。

二次障害を予防するための対応

二次障害を予防する大原則は

  • 厳しく指導しない
  • 何度も繰り返し注意しない
  • 叱責しない

ということです。

『厳しくしないと、何度も言わないと、子どもの特性からくる問題を解決できないのでは?』

あなたはそんな風に思うかもしれません。
子どもを思うがゆえに、厳しくしないと!思う気持は十分理解できます。

けれど、発達障害の困りごとは、厳しくしたり何度も言うことで解決はできません。それどころか、二次障害を生じさせてしまいます。
ADHD、ASD、LDなどそれぞれの症状は十人十色です。アプローチやトレーニング方法も違います。けれど、二次障害を引き起こさないように取り組む、という点では共通していることです。
子どもの持っている特性を踏まえながら、社会に適応していく方法はあります。周りの協力も得ながら、あなたの子どもの得意・不得意、好き嫌いを見極めて、トレーニングを進めていきましょう。

発達障害の3つの種類発達障害3つの種類「うちの子、もしかしたら・・・」その症状や特徴があったときの対応は?

まとめ

発達障害の二次障害とは、地震が起きた時の火災やエコノミークラス症候群などの被害のようなもの。つまり、すぐには起きないけれど、少し時間が経過してから起きるものです。発達障害そのものの困りごとと同程度、もしくはそれ以上に本人や周りに生きづらさを感じさせるものです。目の前の発達障害の症状、特性をなんとかしようと、子どもの気持ちを考えずに躍起なると、二次障害を引き起こしやすくなってしまいます。

二次障害を予防するためには、厳しくしない・何度も繰り返し注意しない・叱責しないことが大切です。
ADHD、ASD、LDなどそれぞれの症状は十人十色です。アプローチやトレーニング方法も違います。けれど、二次障害を引き起こさないように取り組む、という点は共通しています。

親として、子どもの目の前の困りごとが気になりますよね。
しかし、少し先の起きるかもしれない二次障害のことを考えながら、子どもに対応するということを決して忘れないでほしいと思います。

ママさんエスコーター

子どもは今、長い人生のスタート地点にいます。できる限り、この先の生きづらさを減らしてやりたいですよね