子供のやる気を失わせるご褒美の与え方

子供にとってご褒美はとてもうれしいものです。

・くつ下を自分ではけたら、チョコひとつあげるよ。
・宿題を終わらせたら、YouTubeを10分見せてあげるよ。
・弟のおむつを持ってきてくれたら、ぎゅーってしてあげる。

きっとあなたも、こんなふうに子供にご褒美を与えていると思います。
「○○をすれば、〜がもらえる」
と考えさせることによって、子どもに行動を促すことができます。

これは、子供にだけあてはまるものではありません。
大人でも、

・仕事をがんばれば、ボーナスがもらえる。
・給料をもらえるから、仕事をしている。
・上司を手伝えば、昇格できる

ということがあるので、ご褒美は子供であっても大人であってもとても良い方法です。

ですが、このご褒美によってやる気を失わせてしまう場合もあります。

どんな場合なのか、しっかり理解して下さい。
せっかくのご褒美がマイナスに働かないように気を付けていきましょう。

ママさんエスコーター

いつでも、ご褒美が子供を伸ばすわけではありません。
注意してくださいね!

ご褒美がやる気を失わせる場合

ご褒美が子供のやる気を失わせるのは、こんなときです。


たかし君は、ブロックで遊ぶのが大好きでした。
いつも幼稚園から帰ってくると、すぐにブロック遊びを始めます。
「もうご飯の時間よ」
とお母さんが言っても、なかなか手を止めないほどに熱中していました。

お母さんは、たかし君の様子を見て、あきれながらもそれほどまでに集中して取り組んでいるのだから、褒めてあげたいと思いました。

たかし君がブロックでロボットを作り上げたとき
「よくできたね。がんばったから、これあげるよ。」
と、たかし君の大好きなクッキーを渡しました。

たかし君は大喜びしました。

その後も、たかし君がブロックを組み立ててお母さんに見せに来るたび、お母さんは何かお菓子をあげるようにしました。

ある日、
「お母さん、またできたよ!」
と、たかし君がブロックをお母さんに見せに来たとき、たまたまお菓子がなかったので、
「よくできたね」
と、言葉だけを返しました。

すると、たかし君は
お菓子は?お菓子ないんだったら、もうブロックやらない!
と、すねてブロック遊びをやめてしまいました。

それ以降は、お菓子がもらえるときにだけブロックをして、以前のように自分からブロックをすることはなくなりました…

このように、
自分がやりたくてやっていることに、ご褒美を与えてしまうと、はじめのやる気が失われてしまう。
ということがあるのです。

子供のやる気には2種類ある

やる気が失われてしまう原因やそれへの対応の前に、子供のやる気について説明していきましょう。
やる気には、「内発的動機付け」と、「外発的動機付け」の2種類があります。

(1)内発的動機付け

誰に言われなくても、やりたい!と思う「やる気」のことを、内発的動機付けといいます。

・ブロックを勝手にやっている
・夢中で絵本を読んでいる
・砂場でひたすら、穴を掘っている

こんな行動は、内発的動機付けによるものです。
好奇心や探求心、向上心など、本人の内部要因から発生している「やる気」です。

(2)外発的動機付け

一方、ご褒美や報酬をもらったり、誰かからの評価があるから出てくる「やる気」を、外発的動機付けといいます。

・お駄賃がもらえるから、お手伝いをする
・給料がもらえるから仕事をする
・テストで○点以上とって、ゲームを買ってもらうために、勉強をがんばる

こんなことが、外発的動機付けによる行動です。
この行動には、明確な目的、ゴールがあります。

子供のやる気を失わせるアンダーマイニング効果とは

前述のたかし君がやる気をなくしてしまったのは、「アンダーマイニング効果」というもののせいです。

アンダーマイニング効果

アンダーマイニング効果とは
好奇心や喜びなどを元に行なったことが、ご褒美をもらえたりすることで、いつの間にかやる気がなくなる
というものです。

ママさんエスコーター

なぜ、アンダーマイニング効果が起きてしまうのでしょう?

アンダーマイニング効果が起きる原因

・自分がやりたいことだから
・できないことをできるようになりたいから
・知りたいから

という理由・目的で行動していた子供に、「ご褒美」をあげると、その目的が「ご褒美」に置き換わってしまうのです。
これが、子供の内側から出てくるやる気を失わせる原因なのです。

子供のやる気を失わせない工夫

子供の内側から出てくるやる気、内発的動機付けを失わせないようにするには、どうすればいいのでしょう?

それは、子供の好奇心や探求心、向上心を失わせないように、物質的なご褒美を期待させない
つまり、やりたいことをやっているときは、ご褒美をあげない、ということです。

「子供のがんばりを評価してあげたい!」
と思う時は、言葉で褒めてあげるといいです。

・がんばっているね
・今までで、一番大きいね
・今度は何を作るの?

といったように、努力や過程を褒めてあげると、子供のやる気は持続します

まとめ

やる気には、内発的動機付け外発的動機付けの2種類があります。
内発的動機付けとは、好奇心や探求心、向上心など、本人の内部要因から発生しているやる気。
ご褒美や報酬をもらったり、誰かからの評価があるから出てくるやる気を、外発的動機付けといいます。

内発的動機付けにより行動している子供に、ご褒美をあげると、子供の行動の目的が、「ご褒美」に変わります。
それにより、ご褒美がなければ行動しなくなってしまいます。
このように、ご褒美や報酬がなければ、行動しなくなってしまうことをアンダーマイニング効果といいます。

アンダーマイニング効果を起こさせないためには、内発的動機付けによって行動している子供にご褒美を与えないことが必要です。
その行動を評価してあげたいときは「がんばっているね」といった言葉で、子供の努力や過程を褒めてあげるようにしましょう。

褒めること、ご褒美をあげることは、子供の行動を促すのに有効です。
けれど、自らの意欲によってすでに行動しているときに、あえてご褒美を与えることは不要です。
好奇心、向上心といったやる気を失ってしまわないように、注意していきましょう。

ママさんエスコーター

ご褒美も大切ですが、自分の好奇心・向上心そのものが、行動の源泉となるのが理想ですね。