・言葉が遅いような気がする
・あまりにも、落ち着きがない
・衝動的な行動が多い
・癇癪をよく起こす
・何度も、同じ計算間違いをする
こんな周りの子どもと違う、あれ?という行動。
子どものことを心配したお母さんから
こんなことするんです。おかしいですよね。
普通じゃないと思うんですけど…。
という相談を多く受けます。
こんな不安な気持ちのお母さんが、陥りがちな行動。そして、不安な気持ちを解消するために、今するべきことまとめました。
ママさんエスコーター
子どもが発達障害かもしれないと心配なお母さんからの相談
相談者は、よし子さん(仮名)。よし子さんは、小さい頃から落ち着きがなく、衝動性のある健太君(仮名、小学1年)のことをずっと心配してきました。
ある日、「信じられないことをしたんです!」とよし子さんから相談がきました。
問いただしたら、「つい、切った」って言うんです。もう小学生なのに、こんなのおかしいですよね!これって、何かの障害なんでしょうか?
よし子さん
実は、それまでにも健太君自身のズボンや、ノートにはさみを入れたことがあるそうです。よし子さんの心配、不安はつのるばかりです…。
回答(1)親の価値観で判断せず、理由を聞いてみる
では、今回の「はさみでTシャツを切った」という事件(?)について、考えていきましょう。
どうして健太君はそんな行動をしたのでしょう?
今回は「つい、切った」とのことですが、今まではどうだったのか、よし子さんから聞くと
・ズボンを切ったのは、かっこよくしたかったから
・ノートを切ったのは、表紙の絵がきらいだったから
とのことでした。
ちゃんと理由があるんですよね。
でも、理由があっても切られたら困ることはもちろんあります。そんな時は、その理由に沿って、こちらの気持ちを伝えましょう。
・ズボンをかっこよくしたくて切りたいときは、先にお母さんに言って。
・家で使うノートは健太が好きにしていいけど、学校で使うノートは先生に聞かないとね。
親の価値観で切るもの、切らないものを勝手に判定してしまうと、子どもの行動が「おかしい」ように感じてしまいますが、理由があれば何だって切る対象になり得ますよね。
なので、子どもに理由を聞ける状態なら、すぐに「おかしい!」とせずに、理由を聞いてみて下さい。
回答(2)「つい」という衝動的な行動は、ありえない行動なのか?
一見「おかしい?」と思える子どもの行動でも、理由があれば、その理由から子どもに話すことができます。
けれど、今回は理由がなく「つい、切った」ということでした。この「つい」という衝動的な行動。これは、ありえない行動ですか??
「つい」という衝動的な行動、実は自分もしている
健太君の「つい、切った」という行動を信じられないと感じているよし子さん。そんなよし子さんに聞いてみました。
ママさんエスコーター
あっ!!
よし子さん
そうなんですよね。
・ダイエット中で、太りたくないと思っているのに…。
・一人でお菓子を食べて、他の家族に「ずるい!」と怒られるかもしれないのに…。
良くないとわかっていても、大人だって「つい」してしまうことがあります!
「つい」してしまう行動を防ぐ方法
とはいっても、やはり何でもかんでも切られては困りますよね。
「切ってはダメよ!」と何度も言う、という方法は、「つい、切ってしまう」子への対策としてはあまり効果がないです。
目の前にお菓子があるから、「つい」お菓子を食べてしまうんですよね。では、目の前のお菓子を隠してしまう、見えない所に置いておくとどうでしょう?きっと、「つい」食べてしまうことを防げるでしょう。
健太君への対応も同じです。
・はさみは、親が管理する
・絶対に切られたくないものは、リビングや健太君の目に入る場所に置かない
健太君に言い聞かせるより、こうした環境調整をしていく方がはやいでしょう。
子どもの発達が気になっている母親が陥りやすい状況
よし子さんの相談は、「つい、Tシャツを切った」子どもへの対応の仕方を知りたい、という気持よりも、『こんなことをする我が子は、やはり発達障害なのか』ということを聞きたい気持ちの方が大きいのではないかと感じました。
以前から子どもの行動に疑問を持っている場合は、親はどうしても気になる部分です。けれど、どれだけ悩んでいても、そしてたくさんの育児書を読んでも、ネットで検索しても、「我が子が発達障害かどうか」というのは、発達検査を受けてみない限りわかりません。
これは、多くの親が頭ではわかっていることだと思います。でも、周りから何も指摘がない場合など、なかなか勇気が出ないですよね…。

子どもの行動によって、本人や周りが困り感を持つ場合、
・再び同じ困りごとが起きない対策は何か
・よい行動を身につけるためには、どんな工夫が必要なのか
ということに注力していかなければいけません。
けれど、よし子さんのような気持ちを持ったお母さんは、その段階までいけません。
悩みや不安ばかりの状態で子どもに接していると、二次障害の可能性が出てくる
子どもが何かするたびに、「やっぱりおかしい!」「普通じゃない!」そんな気持ちばかり大きくなってしまいます。
そして、子どものことを心配するあまり、子ども本人を責めたくなってきます。
「なんでこんなことをするの!」
「普通は、こんなことしないでしょ!」
「また、やったの!」
といった、子どもにとってはキツイ言葉が多くなってしまう傾向があります。
こうしたことを続けると、子どもの自己肯定感はどんどん下がります。子どもが発達障害であってもなくても、子どもの気持ちが傷つき、二次障害(暴力、不登校、引きこもりなど)が出てくる可能性が高まります。
なので、子どもの行動そのものに目が向けられないほど、子どもの発達に心配があるなら、早く検査や診察を受けたり、専門家の意見を聞いて、子どもの特性を知った方がいいでしょう。
もちろん検査を受けたり、診断を受けたとしても、そのことによって子どもの状態が変わるわけではありません。でも、親側の気持ちの切り替えになることは確かです。
まとめ
「何だか普通と違う」「育てにくい」という子育ての中、理解できない子どもの行動を目の当たりにすると、不安や心配がつのります。特に、幼稚園・保育園、小学校など周りからの指摘がない場合は、「この子は大丈夫なんだろうか?」と母親一人で悩むことになってしまいます。
「Tシャツを切った。」なんてことは、親としては驚いてしまいますが、子どもなりの理由や訳がある場合もあります。頭ごなしに叱るのではなく、まずは理由を聞いてあげて下さい。そして、その理由を踏まえたうえで、次から取るべき行動を教えてあげましょう。
また「つい」という衝動的な行動についても、私たち大人でもやってしまうことはありますので、衝動的な部分だけをとらえて、不安になる必要はありません。どうしても、してほしくない行動については、環境調整を行うなど、親側の工夫で防ぐことも考えていきましょう。
子どもの困りごとを減らすためには、子どもの行動に注目していくことが必要です。けれど、「発達障害なのか、どうなのか」が気がかりで、子どもの行動そのものに目を向けられない…。そんな場合は、まずは保健センターなどに相談し、必要があれば検査や診察を受けて、子どもの特性について理解を深めましょう。
子どもが発達障害かもしれない。相談先はどこ?療育より家庭での取り組みが大切な理由。
大切なのは、毎日の生活の中の困りごとを減らすことです。検査や診断といったものは、あくまでその手段であると私は考えています。
子どもにとって、そしてあなたにとって、楽しい毎日を過ごせるにはどうしたらいいのか、そのための第一歩を一緒に踏み出しましょう。
ママさんエスコーター
簡単なことではないですが、少しずつ知識をつけて進んでいきましょう。